
特定秘密保護法案をはじめ、強行採決に終始した臨時国会への抗議声明
2013年12月10日、医療生協さいたま・埼玉県民主医療機関連合会は、国民世論を無視して強行採決に終始した臨時国会への抗議声明を発表しました。
【声明】 ♦国民世論を無視して強行採決に終始した臨時国会♦
憲法を根底から覆す特定秘密保護法案の成立に断固抗議し撤廃を求めます。
2013年12月10日
医療生協さいたま生活協同組合
理事長 神谷 稔
埼玉県民主医療機関連合会
会長 山田 昌樹
10月15日に開会した第185回臨時国会が12月8日に終わりました。わずか55日間の国会で、安倍内閣は憲法の根底を覆す法案を次々と強行に採決させました。特定秘密保護法案、安全保障会議設置法案をはじめ、社会保障プログラム法案、生活保護法改正法案、生活困窮者自立支援法案、さらに産業競争力強化法案、国家戦略特別区域法案などです。
特定秘密保護法は、条文に明記されていないにもかかわらず、公務員等の適正評価のため医療機関に対し病歴など機微な個人情報を回答する義務があるとの政府見解です。患者と医療機関との信頼関係を損ないかねず、医療従事者の良心を踏みにじるものです。
法案成立後の世論調査(共同通信12/8、9)では、特定秘密保護法に対して「修正する」「廃止する」は82%にのぼり、「このまま施行」は9.4%です。「不安を感じる」は70.8%、「感じない」は22.3%です。内閣支持率は10.3ポイントの急落で47.6%、初めて50%を割りました。「安倍政権、世論無視のツケ」などと報道されています。情報化社会ともいわれる現代において国民の知る権利の侵害に対する懸念の大きさを表しています。
社会保障の解体に向かう「プログラム法」と生活保護関連2法も強行されました。憲法25条の考え方を投げ捨て、国民を無理やり「自助(自己責任)」に追い込むものです。医療は患者の負担を増すとともに、介護では介護保険サービスを縮小する方向が強まります。子ども・子育て支援新制度が保育現場に深刻な影響を与える点も指摘されています。さらに2014年の通常国会では医療法改正と介護保険法改正を行い、病床機能見直しや介護施設とともに医療提供体制の再編を進めるものです。
しかも、「消費税は社会保障のため」という議論は消え社会保障費削減を行うとしています。もともと政府は「増大する社会保障費を賄うため」2014年4月から消費税増税を決定しました。ところが、安倍政権は来年度の予算編成にあたって「社会保障予算の重点化・効率化に不退転の決意で」取り組み、「増税するからには社会保障は削減」する方針を露骨に表明しています。政府が8月に発表した「国民の健康寿命が延伸する社会」では2025年までに国の医療費・介護費の5兆円削減をうたっています。消費税率のさらなる引き上げも検討されています。
安倍内閣の暴走はあらゆる分野からの怒りとたたかいを呼び起こさずにはいられないでしょう。戦前の暗黒政治に逆戻りさせる動きに毅然と立ち向かい、国民の目と耳と口をふさぐ「戦争する国づくり」にはどんな理由があろうと反対します。私たちは、憲法と国民のいのちを守り、くらしと社会保障の充実をこれまで以上に求めていきましょう。そして、健康権を守り、「貧困と格差」の拡大を許さない地域の多くの人々との連帯の輪をさらに広げていきましょう。