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- (7)肺がん 危険性回避には、まず禁煙!!
「けんこうと平和」2010年2月号掲載
40代後半から、罹患(りかん)率、死亡率ともに高くなっていく肺がん。
もしあなたが喫煙者なら、今すぐたばこをやめましょう。
禁煙によって、肺がんの危険性が下がることが報告されています。
埼玉協同病院外科
病棟医長 浅沼 晃三
(あさぬま こうぞう)
埼玉協同病院呼吸器科
科長 宮岡 啓介
(みやおか けいすけ)
【監修者のことば】
がんは生活習慣病といわれています。
健康診断で早期発見に努めるとともに、がんにならない生活を心がけましょう。
データが語る喫煙の害
日本人の死因の30%はなんらかのがんが原因です。なかでも、いちばん多いのが肺がんです。人間は肺呼吸をしているので、吸い込んだものの中に発がん性の物質が含まれていると、肺が直接、影響を受けることになります。
がんの原因は完全にわかってはいませんが、喫煙はあきらかに肺がんの危険性を高めているといえます。たばこの煙には、数十種類の発がん性物質が含まれ、それが体内に入って細胞ががん化する異変を引き起こすとされるからです。肺がんで死亡する男性の70%、女性の20%は喫煙が原因と考えられています。
また、がんになる危険性は、喫煙者は非喫煙者と比べると、男性で2倍、女性で1・6倍という報告があります。見逃せないのは、たばこに火がついているときに立ち上る煙(副流煙)には、喫煙者が吸い込む煙(主流煙)の数倍から数十倍の量の発がん性物質が含まれるという点です。喫煙していない人でも、同居の家族などに喫煙者がいると、肺がんになる確率が20~30%高くなるとされています。
2007年に国際がん研究機関が、禁煙すれば5~9年で、喫煙者よりも肺がんになる危険性は低くなると報告しています。肺がんの原因として、車の排気ガスや職場のアスベストもありますが、禁煙は本人の意志でとりくむことができます。
自覚症状が出る前に健康診断で早期発見
では肺がんはどのようにして見つかるのでしょう。気管、気管支、肺胞などの細胞ががん化するのが肺がんですが、胸部レントゲン撮影をすると、影が写ります。健康診断でこうした異常影が見つかって、精密検査を受けたというケースが多いようです。せき、血たん、息苦しさ、動悸(どうき)などの自覚症状から受診される方もいらっしゃいますが、通常、この段階になると、がんはかなり進んでいる可能性があります。
精密検査ではまず胸部CTを撮ります。肺がんの可能性が高いとなれば、次に気管支鏡検査をおこないます。これは、胃カメラと同じように、小さなカメラを口から気管支に進めていく方法で、肺の影が映った部分の組織をとって調べ、肺がんかどうかを確定します。肺に水を入れて洗浄し、洗浄後の液を調べることもあります。
早期であれば手術が可能
がん細胞が見つかった場合、いちばん問題になるのは、他に転移しているかどうかです。肺がんでは特に、脳や骨に転移することが多く、以前はそれぞれ検査していましたが、最近はPET(※ペット)-CTで、一度に全身への転移を調べることができるようになりました。PETは非常に高額な医療機器で、導入しているところは限られています。埼玉協同病院では肺がんの患者さんには、近隣のPETセンターで検査を受けていただき、その結果を見て、治療方法を決めることにしています。
検査の結果、転移が見られない方は、基本的には手術となります。がん細胞が3cm以下でリンパ節に転移していなければ、手術で約8割が治るといわれています。埼玉協同病院でも2009年4月から、肺がんの手術が始まりました。
※PETとはポジトロン断層撮影法の略語。がん細胞が正常な細胞よりも多くのブドウ糖を必要とする性質を利用して、ブドウ糖と似た検査薬を注射し、それがどこに集まるかを画像化する検査法。
抗がん剤による延命の報告も!
がんが大きかったり、周囲に広がった進行がんの場合は、手術を見合わせるのが一般的です。心臓病をはじめ他の疾患があって、手術ができない場合もあります。また、長年の喫煙で肺の働きが悪くなっている方の場合、機能の衰えている肺を手術でさらに切り取れば、その後の生活に大変な負担となります。
手術ができない場合は、抗がん剤治療や放射線療法をおこないます。かつて抗がん剤治療は、がんによるつらい症状をやわらげるための緩和治療と考えられていました。しかし、最近は治療効果の高い抗がん剤もでき、延命につながっているという報告もあります。ただ、治療期間中は、吐き気がひどかったり、肝障害、腎障害、血小板減少など副作用が多いことも事実です。
手術後も、再発を防ぐために、ほとんどの場合抗がん剤治療がおこなわれます。埼玉協同病院では、肺がんについては抗がん剤治療は入院しておこないますが、将来的に通院でおこなうことも考えています。
なお、放射線療法を併用することで、抗がん剤の効果はさらに高まります。ただし、がんのある場所が心臓に近かったり、間質性肺炎など他の疾患で呼吸不全がある、心臓に病気があるといった場合は控えます。
放射線療法を併用した2週間の抗がん剤治療を4回おこない、その後10年間、経過観察で問題が見られず、元気に過ごしている患者さんもいます。
肺の構造
みんなの禁煙体験談
健康診断の結果を見た妻のひと言で決意
さいたま市 藤山清隆(ふじやま きよたか)(37)
15年近く喫煙していましたが、健康診断の結果を見た妻に「このままだと動脈硬化になって血管が詰まって死ぬよ」と言われ、禁煙を決意。ニコチン入りガムを使いましたが、高いので、2箱使用した後は、気力でがんばりました。つらかった最初の3日間を乗り切ったら意外と楽に成功しました。
禁煙外来でいいプレッシャー
富士見市 猪狩俊夫(いかり としお)(67)
一度、自分で薬局でニコチンパッチを買って、禁煙にとりくんでみたのですが、だめでした。昨年、大井協同診療所の禁煙外来に通い、先生に「猪狩さんならできる!」とか、看護師さんに「がんばって」と言われたのがいい意味でのプレッシャーになって禁煙に成功。半年間ぐらいは疲れたときなどに吸いたい誘惑にかられましたが、無事に乗り越え、禁煙8カ月。今度は大丈夫そうです。やめられればいいな、という軽い気持ちだったのがよかったのかも。
肺がんを予防するための4カ条
- ①禁煙
たばこを吸っている人は禁煙を。家族の喫煙者にも、禁煙を働きかけましょう。 - ②検診受診
- 胸部レントゲン検査
- 年1回、健康診断のときに受けましょう。特定健診には基本的には含まれないので、自治体のがん検診や医療生協さいたまの「健康づくり健診」などの利用を。
- 胸部CT検査
- 喫煙者など、肺がんになる危険性が高い人に。
(埼玉協同病院、埼玉西協同病院、熊谷生協病院、秩父生協病院で実施。10,500円)
- ③食生活の改善
これまでの研究で、野菜(特に緑黄色野菜)や果物が肺がんの予防に効果が期待できるとされています。野菜は1日に350~400g取りましょう(1/3程度は緑黄色野菜で)。 - ④節酒
お酒の飲み過ぎもがんになる危険性を高める場合があります。
禁煙外来を利用しよう
喫煙はニコチン中毒といって、一種の薬物中毒です。医療生協さいたまの病院・診療所では、禁煙外来を開設して、たばこをやめようと決意した人をサポートしています。
- ●内容:
- ニコチンパッチを処方して、中毒症状を緩和するほか、食事指導、心理面でのサポートをおこないます。5回で終了(3カ月)。
- ●費用:
- 3カ月(禁煙治療の健康保険適用期間)で17,000円程度(3割負担の場合)。ニコチンパッチの処方内容によっても異なります。
- ●曜日・時間:
- 事業所によって異なるので、お近くの病院・診療所にお問い合わせください。(予約制)

