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- (6)花粉症 くしゃみ、鼻水に悩む前に
「けんこうと平和」2009年12月号掲載
花粉を吸いつづけていることで、だれでも花粉症になる可能性があります。
早めの受診で花粉症と上手につきあえるように、正しい知識を身につけましょう。
【監修者のことば】
川口診療所 所長 内山 隆久(うちやま たかひさ)
花粉症は、花粉が飛散する前の対応が重要です。体調を整えるとともに、症状が出る前に初期治療を始めましょう。
かぜと見分けるポイントは?
花粉症の3大症状は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりで、かぜとよく似ています。そのため、初めて花粉症になったときは軽いかぜだろうと思って、放置しておく人もいるようです。しかし、鼻粘膜が炎症を起こしてしまうと重症になりやすく、治りにくくなるので、早めに受診し、治療することが大切です。
かぜはウイルスによる感染症ですが、花粉症はアレルギー疾患です。見分けるポイントは、花粉症の場合、①目や皮膚がかゆくなる、②花粉が飛ぶ屋外で症状が強く出る、③透明な鼻水がたらたら流れる、などです。花粉症かどうかや、どの花粉に反応するのかは、血液検査でわかります。
なお、花粉症で熱が出たり、頭痛がすることもあります。
花粉を吸うたびに発症しやすくなる
では花粉症はなぜ起こるのでしょうか?人間の体には免疫システムがあり、異物が入ると、その異物に対する抗体を作ります。よく「抵抗力がつく」といいますが、ウイルスや病原菌から体を守るためにはなくてはならないシステムです。
ところが花粉症の場合、抗体のひとつ、IgE(アイジーイー)抗体が問題になります。花粉を吸うたびにこの抗体がどんどん体内に蓄積され、一定の量に達すると花粉症となるのです。そして花粉を体外に出そうと、くしゃみや鼻水、涙などのアレルギー反応が起こります。
アレルギー体質の人や家族にアレルギーの人がいる人は、もともとアレルギーの症状が出やすく、花粉症にもかかりやすいと考えられます。日ごろから家のそうじを心がけ、ハウスダスト(屋内のほこり)などアレルギーを起こしやすい要因を取り除いておくことは、花粉症対策にも役立ちます。
最良の予防法は花粉を浴びないこと
花粉症の予防法ですが、「花粉を浴びない」のひと言につきます。
日本では花粉症の原因として、約60種類の花粉が報告されていますが、最も多くの人を悩ませているのは、スギ花粉です。1月1日から1日の最高気温を足していき、合計が350~400になると花粉が飛びはじめるそうです(微量の花粉はそれ以前にも観測されます。右図参照)。関東地方の飛びはじめは過去平均で2月上旬ですが、地球温暖化の影響でこの時期が早まることも考えられます。花粉情報に注意して、なるべく花粉を浴びないようにしましょう。
とはいえ、現実的には花粉から完全に逃れることはできません。もうひとつの予防法が薬の服用です。花粉症の薬は飲みはじめて2週間ぐらいたって、ようやく効果があらわれます。ですから本格的に花粉が飛びはじめる2週間前から薬を服用すれば、スギ花粉が収まる5月までずっと、軽い症状で過ごすこともできるのです。
年齢別スギ花粉症推計有病率
主な花粉の飛散時期(関東地方)
要チェック!花粉が多く飛ぶのはこんな日
- 晴れて、気温が高い日
- 空気が乾燥して、風が強い日
- 雨上がりの翌日や、2~3日気温の高い日が続いた後
※『花粉症環境保健マニュアル2009』(環境省)参照
治療の基本は対症療法
花粉症の治療法は基本的には対症療法です。目的はつらい季節を楽に過ごすことですから、2週間たっても処方された薬の効果が感じられない場合は、がまんせずに医師に相談しましょう。
花粉症の治療薬は内科でも処方しますが、鼻や眼などの症状が特にひどい場合は、耳鼻咽喉科や眼科を受診するのがいいでしょう。即効性のある強い薬を出してもらうこともできますが、効き目が強い薬は長く続けることで、粘膜がただれるなどの副作用の危険があります。症状がとれてすっきりするからといって、決して医師の指示を超えて使用しないでください。
妊娠中の方やお子さんは、花粉症の場合もかかりつけの産婦人科や小児科でみてもらうのがいいでしょう。以前は子どもには花粉症はないといわれましたが、数年前から15歳以下の子どもにも花粉症が報告されるようになっています。
根本治療が確立する可能性も?
花粉症の完治が期待される治療法としては、減感作(げんかんさ)療法があります。原因になっている花粉のエキスを徐々に濃度を上げながら、皮下注射していくものです。理論的にはこれが治療の理想ですが、実際には3~5年続ける必要があり、完治率もまだ高いとはいえません。
東京都では、花粉エキスを舌の下に入れる舌下(ぜっか)減感作療法の臨床研究を2005年からおこない、約7割が症状が消失、または軽減したと先の日本アレルギー学会で発表しました。今後、花粉症にも根本治療が期待できるかもしれません。
やっぱり大切健康生活習慣
花粉症にかぎらず、どんな病気でも、免疫力が落ちているときや、体調が悪いときはかかりやすく、症状も重くなりがちです。逆に睡眠を十分にとり、規則正しい生活習慣を守り、栄養バランスがとれた食事をすることで、免疫機能をたもつことができるので、病気にかかりにくく、かかっても軽い症状ですませることができます。
花粉症は、ストレスやたばこ、アルコールの飲み過ぎなどによっても症状が重くなったり、発症の可能性を高めるといわれています。花粉症の季節の到来に向けて、あらためて日ごろの生活習慣を見直してみましょう。なお、花粉症の症状がひどいときは、たばこの煙もつらいものです。喫煙者は、周囲の花粉症患者への配慮をお忘れなく。
花粉症の季節を過ごす知恵
●外出するときは…
- マスク
- 顔との間にすき間がなるべくできないものを。花粉の粒子は比較的大きいので、目がつまったものである必要はありません。使い捨てが衛生的。
- めがね
- 目に入る花粉量はふつうのめがねでも1/3に抑えられます。花粉症専用のめがねなら、花粉量は約6%に。
- 帽子・コート
- ウール素材は花粉がつきやすいので避けましょう。ポリエステルと綿の混紡など、つるつるしたものがおすすめ。
- 時間
- 花粉の飛散が多い11~15時は避けましょう。
●外出から帰ったら…
- 玄関の前で、衣類についている花粉をできるだけ落とす。
- 帰宅後すぐにうがい、手洗い、洗顔を。シャワーも効果的。
- 外出時に着ていたものを寝室に置かない。
●家事のチェックポイント…
- 基本的に洗濯ものは戸外に干さない。室内に干すか、できれば乾燥機の利用を。
- 換気をするとき、窓は全開ではなく10cm程度の空きにし、レースのカーテンを閉めておく。これで、室内に入る花粉は約1/4に。カーテンもときどき洗いましょう。
- 換気後は掃除機をかけましょう。
- ふとんを干すときは、できるだけ花粉の飛んでいない日や時間帯を選びましょう。

