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- (4)変形性関節症 この痛み、解決する方法は?
「けんこうと平和」2009年10月号掲載
ひざや股関節(こかんせつ)などの痛みをがまんしていませんか?年のせいとあきらめがちですが、変形性関節症という疾患かもしれません。
整形外科を受診して、快適な生活を取り戻しましょう。
【監修者のことば】
埼玉協同病院 整形外科 科長 仁平 高太郎 (にへい こうたろう)
痛みは体が助けを求めるサインです。がまんせずに受診して、問題点を見つけ、適切な治療で解決していきましょう。
変形性関節症とは?
変形性関節症とは、軟骨がすり減っていき関節の形が変化して、やがて日常生活にも支障が出るほど強い痛みが出る疾患です。年をとると、どの関節も徐々に変形していきますが、痛みが出なければ、変形性関節症とはいいません。主に、体重を支えている、ひざと股関節にこの症状が現れます。
ひざの痛みには筋トレが有効
変形性膝(しつ)関節症の多くは、加齢によって筋肉が衰え、クッションの役割を果たしている軟骨や半月板に負荷がかかることで進行します。内側の軟骨がすり減るので、ほうっておくとO(オー)脚になってしまいます。
肥満は大敵で、標準体重(身長(m)×身長(m)×22)を維持することが大切です。大腿四頭筋(だいたいしとうきん)(太ももの前面の筋肉)の筋力トレー ニングは、予防になるとともに、治療の効果もあります。
ひざが痛いときは、一度整形外科を受診して、レントゲン写真でひざの状態を確認しておきましょう。まれに、がんなどの重大な疾患が隠れていることもあります。即効性のある治療として、ヒアルロン酸製剤を患部に注射して、痛みを緩和することもできます。
股関節の痛みは形成不全から
一方、股関節の場合は、ほとんどが骨盤の臼蓋(きゅうがい)(関節のしくみ参照)の先天的な形成不全が原因です。正常な形の臼蓋であれば、一生のうちに何十億回動かしても、また100歳まで使っても、痛みが起こることは通常はありません。
ところが、生まれつき骨盤の形成が不十分だと、股関節に大きな負荷がかかって軟骨がすり減っていきます。痛みも強くなり、動く範囲もだんだん小さくなります。
先天性の形成不全でも、9割の人は中年期までは特に症状は出ず、ふつうにスポーツも楽しみながら過ごせます。しかし、いったん軟骨がすり減りはじめると、40~50代から痛みが出てきます。なかには、形成不全があっても、一生、痛みなどの症状が出ない場合もあるので、ひざと同様、標準体重を維持することを心がけるとよいでしょう。
変形性股関節症を早期発見するには?
気づかないうちに進行している変形性股関節症ですが、最初に痛みを感じたときに、すぐに専門医を受診し、生活面で注意することを確認しておきましょう。軟骨が完全にすり減っていない段階であれば、骨切(こつき)り術という手術で、骨を関節に負荷がかからないような形に整形する方法もあります。
股関節の場合、ひざと違って、筋力トレーニングが必ずしも有効とはいえません。関節を動かしたり、負荷をかけることで、かえって痛みが強くなることもあるからです。とはいえ、筋力トレーニングが効果的な人もいるので、翌日に痛みが残らない程度に、少しずつ試してみるのはよいでしょう。最も適しているのは、体重の負荷が減る水中での歩行やばた足です。水中にへそまで入れば体重は1/2に、胸まで入れば1/3になります。それでも痛みが出た場合は、すぐに中止してください。筋力トレーニングも医師に相談しながら、慎重におこなうことです。
人工股関節手術はどんなときに選択する?
いったん軟骨がすり減りはじめると、変形性関節症は慢性的に進行します。しかもすり減った軟骨を再生することはできません。そこで、軟骨がまったくなくなってしまった場合は、人工関節置換(ちかん)手術を考えます。変形した関節を取り除き、その場所に金属やポリエチレンの素材の人工関節を入れる方法です。
人工関節は基本的には、痛みがある、靴下をはきにくい、階段をのぼれない、歩けないなど日常生活での不自由さを解消することが目的です。軟骨がなくても、自覚症状がなければ、必ずしも手術が必要というわけではありません。
かつては、人工関節の置換手術は60歳を過ぎてからというのが一般的な考え方でした。というのも、人工関節には耐用年数があります。初めて人工関節を入れるときより、入れ替え手術のほうが時間もかかって大変なので、できるだけ次の手術をしないですませようと考えていたからです。現在、20年前に置換手術を受けた方の半数が、入れ替え手術をしています。
しかし、最近では、人工関節の素材の耐久性もあがり、入れ替え手術の技術的な難点も克服されつつあります。痛みや日常生活の不便さをがまんして暮らすより、趣味のウオーキングや山歩き、ダンスなどを続けられるようにという積極的な考えで、40代、50代で手術を受ける人もいます。
現在日本では、年間35、000件の人工股関節手術と約50、000件の人工膝(しつ)関節手術がおこなわれ、10年前と比べると、手術数は倍増しています。埼玉協同病院でも、現在、年間100件を超える人工関節手術がおこなわれています。
関節のしくみ
体験者の声
人工股関節で日常生活が向上
川口市 佐藤ミツ子(60)
痛みを抱えながら、足の長さや向きも違うという不自由な生活を長年続けてきて、5月についに動けなくなり、7月、人工股関節置換手術を受けました。寝ているとき両方のつま先が上を向いているのはとてもうれしかったです。手術した翌日からリハビリが始まり、びっくりでしたが、おかげで今は痛みもなく、日常生活がラクに自由になりました。
大腿四頭筋のトレーニング
ひざの変形性関節症やその予防に有効です。
(痛みがある場合など、医師と相談してからおこなってください)
- ① いすに腰かけ、ゆっくりと片足を持ち上げる。
- ② ゆっくりと足を下ろす。
- ③ 2~3回①、②を繰り返す。
※50代からは少ない回数を、毎日続けることが大切です。
埼玉協同病院の人工関節置換手術
埼玉協同病院では、人工関節を計画通りの位置に正確に挿入できるように、最新のナビゲーション手術器械を導入しています。人工関節をより長持ちさせることが期待できます。
- 費用:
- 約200万円(3割負担で約60万円。ただし高額療養費制度の対象になるので、負担額は一般的に月額約8万円程度になります)
- 入院期間:
- 股関節で3週間(最低10日間)、ひざで4週間
- 手術時間:
- 股関節で約1時間、ひざで約1時間半
- 麻酔:
- 全身麻酔に硬膜外麻酔を併用することで、手術後の痛みが軽減できます。手術前に麻酔科の医師から詳細な説明があります。
※埼玉協同病院では、人工関節手術を受ける方、術後の方のために、水曜日の午後、人工関節外来も開設しています。

