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- (3)子宮がん 子宮がんは検診で予防できる!
「けんこうと平和」2009年9月号掲載
子宮がんは初期であれば、死因となることはまずありません。ところが日本の子宮がん検診受診率は21.3%※。
自治体で子宮がん検診を実施しているにもかかわらず、早期発見のチャンスを逃している人がたくさんいます。
※厚生労働省「2007年国民生活基礎調査」から
【監修者のことば】
埼玉協同病院 産婦人科 医師 伊藤浄樹(いとうじょうじゅ)
子宮がん検診は、がんだけでなく、子宮筋腫や子宮内膜症などを見つけるきっかけになる婦人科検診です。
ぜひご活用ください。
10代でも子宮がんになる?
子宮がんには2つの種類があります。入り口(頸部(けいぶ))にできる「子宮頸(けい)がん」と、奥(体部(たいぶ))にできる「子宮体(たい)がん」です。この2つは気をつけるべき年齢も予防法も異なります。
近年、子宮頸がんの多くは、ヒトパピローマウイルス(HPV)への感染が原因であることがわかりました。このウイルスは性行為によって感染します。感染自体は珍しいものではなく、女性の数十パーセントが1回は感染しているといわれます。ただ多くの場合、ウイルスは自然に消滅します。消滅せずに持続感染している人に、子宮頸がんの危険性が増すのです。性行為の経験が1度でもあれば、10代でも子宮頸がんになる可能性はあります。
早期発見でがんになる前に治療
子宮頸がんには非常に有効な予防法があります。それは子宮がん検診です。自治体が20歳以上の女性を対象に1~2年に1度受けられるように、子宮頸部・体部合わせて1,000円程度で実施しています。子宮頸部の検診では、子宮の入り口付近にある細胞をこすって集め検査するとともに、内診で子宮や卵巣をみるので、子宮の異常を早い段階で知ることができます。異形成といってがんになる前の状態を発見し、治療することもできるのです。
検診の結果は、6段階で示されます(検診の結果の見方参照)。Ⅲの異形成、Ⅳの上皮内がん(子宮頸部の表層部数ミリのところにがんがある状態)の場合、子宮頸部や子宮頸管の組織を薄く円錐形に取り除く円錐切除術をおこないます。この手術は検査も兼ねていて、取った部分が悪性ではないか、調べます。この段階までなら、その後、妊娠・出産も可能です。
結果がⅤでがんが進行している場合は、子宮全体を取り除く必要がでてきます。がん細胞が膣、子宮体部、卵巣などに広がっていたり、他の器官に転移している可能性もあります。そうなると子宮を取っただけではすまず、その後も化学療法や放射線療法を続けなければならない場合もあります。最終的には、それでも命を救うことができない場合もあります。
ところで海外では、子宮頸がんの予防に、HPVのワクチンを使いはじめた国もあります。しかし、日本ではまだ使われていません。
40歳になったら子宮体がんの検診も
子宮頸がんが20代後半から40歳前後にかけて増えていくのに対し、子宮体がんは40代後半から増加し、閉経後など年齢が高い人に多く見られます。閉経前でも、子宮体がんが原因で出血することもあるので、いつもの生理と違う出血があったときには、産婦人科を受診すべきです。
40歳になったら、子宮体がんの検診もいっしょに受けましょう。自治体検診では子宮頸がんの検診と同時に受けることができるようになっています。子宮内腔内の組織を取るので多少痛みがありますが、できるだけ体の力を抜いて受けるとよいでしょう。
子宮体がんにはHPVは関係していません。出産したことがない人に多く発症するといわれているほか、高血圧、肥満などによってホルモンのバランスがくずれることで危険性が高くなります。子宮体がん予防のためにも、適正体重を維持し、生活習慣病にならないようにすることが大切なのです。
子宮の構造
【生理痛への対策は?】
中学生の娘の生理痛がひどいのですが、何かよい対策はありますか?
生理痛の原因は、痛みを起こすホルモンが出ていることなので、放っておいては治りません。鎮痛剤をお使いになるといいでしょう。一般の市販薬で問題はありませんが、一度医師に相談してみてください。
また子宮が前屈、後屈になっている場合、生理の血液が子宮内でたまっていて痛い、ということもあります。体操などで体を動かして、たまった血液を出すようにするのも大切です。
思春期以降で、以前はなんともなかったのに、途中から生理痛がひどくなった場合、子宮内膜症の可能性もあります。一度受診するとよいでしょう。
ポリープや筋腫はがんの危険因子?
子宮がん検診を受け、ポリープや筋腫があると再検査となります。再検査では、ポリープを取って調べたり、膣からのエコー検査をおこないます。ポリープは悪性(つまり、がん)ではないものがほとんどですが、5mm以上のポリープが見つかったときは、切除して調べます。
子宮筋腫は、子宮をつくっている平滑筋(へいかつきん)の細胞に腫瘍ができたものです。腫瘍といってもがんと違い良性で、他に転移することはありません。できる場所によって子宮筋腫にはいろいろな症状が出ます。生理のときに大出血となって貧血が起きたり、強い痛みがあったり、腫瘍が大きくなって膀胱(ぼうこう)や直腸を圧迫し、頻尿や便秘の原因になるなど、快適に生活できなくなることもあります。部位や大きさによっては、命にかかわる場合もあるので、受診して治療をすべき疾患です。
毎年1回は子宮がん検診を!
子宮がんは他のがんと比べて進行がおそいがんですが、痛みなどの自覚症状が出たときには、症状はかなり進んでいます。手術で子宮を全摘しても、がん細胞が転移している可能性があるので、術後も定期的に検診を受けることになります。また、点滴などの化学療法によって体力が衰えたり、放射線治療で神経障害が起き、排尿困難、頻尿などを起こすこともあります。がん治療は、かなり体に負担を強いるものなのです。
しかし、毎年検診を受けていれば、手おくれになる段階のがんが突然見つかることはありません。自治体の子宮がん検診は2年に1回しか受けられない場合もありますが、ぜひ自費ででも検診を追加して、毎年受診してください。
検診の結果の見方
| 診断 | 状 態 | 対 応 |
|---|---|---|
| Ⅰ | 正常範囲 炎症は見られない | 1年後に検査 |
| Ⅱ | 正常範囲 炎症がある | 半年~1年後に検査 |
| Ⅲa | 軽度~中等度異形成 | 3カ月ごとに検査 |
| Ⅲb | 高度異形成 | 円錐切除術 3カ月から半年ごとに受診 |
| Ⅳ | 上皮内がん | |
| Ⅴ | 浸潤がん ※組織に広がっていくがん |
子宮全摘術。必要であれば化学療法や放射線療法。定期的に受診。 |
最近では子宮頸がんの検査に、HPV感染の状況も加える方法が登場しています。目でがん細胞は見えなくても、HPV感染の有無によって評価が変わります。埼玉協同病院で実施していますが、保険適用にはなりません。
上手な子宮がん検診の受け方
- 自治体の子宮がん検診は、必ず受けましょう。子宮頸がん検診の無料クーポン※が送られてきたら、必ず利用しましょう。
※子宮頸がん検診無料クーポンは昨年度20歳、25歳、30歳、35歳、40歳になった女性に、乳がん検診無料クーポンは昨年度40歳、45歳、50歳、55歳、60歳になった女性に「検診手帳」と一緒にお住まいの市区町村から送付されます。自治体によっては対象年齢が広がる場合がありますので、詳しくはお住まいの自治体のがん検診担当窓口にお問い合わせください。
- 自治体の検診を利用できない年は、埼玉協同病院をご利用ください。(費用:5,250円。未組合員は6,300円)

