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- (2)糖尿病 血糖値をあまく見ないで!
「けんこうと平和」2009年8月号掲載
糖尿病が強く疑われたり、可能性を否定できない人は、全国に2,210万人※いるといわれます。
いったん発症すると完全に治ることはありませんが、早期治療で、ふつうの日常生活も可能です。
※厚生労働省「平成19年度 国民健康・栄養調査(概要)」から
【監修者のことば】
埼玉協同病院 内科医 田中豊基(たなかとよき)
定期健診で血糖値について指摘を受けたら受診し、糖尿病かどうかの診断を受けましょう。適切な生活習慣を身につけ、糖尿病にならないことも大事ですが、糖尿病と診断されても、早期に治療を始め、合併症を予防しましょう。
糖尿病ってどんな病気?
皆さんは、インスリンをご存じですか。すい臓のβ(ベータ)細胞というところから出るホルモンで、主な働きは、血液中のブドウ糖(以下、糖)をエネルギー源として肝臓に蓄えたり、筋肉に運んだりすることです。糖は私たちが摂取した炭水化物が消化・吸収されたものですが、インスリンが働くことで、この糖を体が利用することができるのです。
もしインスリンが十分に分泌されなかったり、分泌されてもきちんと働かなくなると、糖は血液の中にとどまり、その結果、血糖値が高くなります。この状態が慢性的に続いているのが糖尿病です。
糖尿病は、初期には自覚症状がほとんどありません。症状が進んだときには、病気がかなり進行していたという状況になりかねないため、早期発見できるように、定期的に健康診断を受けることが大切です。
健康診断で血糖値が高かった場合には、受診して再度検査を受け、糖尿病ではないか、調べましょう。
発症したら治らない?
糖尿病は、いったん発症すると、症状がよくなることはあっても、治ることはまずありません。血糖をきちんとコントロールしないままでいると、動脈硬化、神経障害、網膜症、腎症などの合併症が知らないうちに進行してしまうおそれがあります。
糖尿病にはいくつかのタイプがあります。知られているのは、1型糖尿病と2型糖尿病です。2型糖尿病は主な要因として、体質、家族歴などの遺伝的要素、肥満、加齢、ストレス、飲酒などがあげられます。早期に発見できれば、食事や運動療法で血糖をコントロールすることも不可能ではありません。2型糖尿病は次の2つの原因によって発症すると考えられています。(1)インスリンの働きが悪くなる(インスリン抵抗性)、(2)すい臓のβ細胞の働きが悪くなり、体が必要とする十分な量のインスリンが作れなくなる(インスリン分泌不全)。
日本人の糖尿病の約95%を占めているのが、2型糖尿病です。中高年に多いとされますが、最近では小学生にも、このタイプの糖尿病が見られます。糖分の多い飲料を飲むことが多く、肥満の子どもが増えているからと考えられます。
一方、1型糖尿病は何らかの原因で、すい臓のβ細胞が壊れ、インスリンが分泌されなくなったものです。子どもや若い人に多いといわれていますが、実際はどの年齢でも起こります。
神経・網膜・腎臓に合併症
高血糖の状態が続くと、のどがかわきやすく、トイレが近くなるといわれます。これは血中の糖分を薄めようと、血管の外から水を取り込もうとするからです。この症状で受診し、糖尿病と診断される方がいます。
糖尿病の三大合併症といわれるのが神経障害、網膜症、腎症です。神経障害の初期には、手足の違和感やしびれが生じることもあります。糖尿病が原因で腎不全となり人工透析を導入する人は年間約1万6千人。また糖尿病による網膜症で、年間約3,000人が失明などの視覚障害を起こしていると推測されます。
糖尿病を予防するために
肥満を予防し、自分の標準体重を知りましょう。
標準体重(kg) = 身長(m)×身長(m)×22
適正なエネルギー摂取量を知りましょう。
エネルギー摂取量(kcal) = 標準体重(kg)×身体活動量※
※主にデスクワークの人や主婦は25~30kcal、立ち仕事や電車での移動が多い人は30~35kcal。
力仕事が多い仕事では35~40kcalを目安とします。
糖尿病の合併症の例
治療の基本は食事と運動
1型糖尿病の治療法の基本はインスリン注射です。インスリンが効きやすい体をつくるために、食事や運動療法も大事です。2型糖尿病の治療法の基本は、食事療法と運動療法です。効果が不十分であれば、内服薬を使ったり、インスリン注射をしたりします。高血糖の状態を解除する目的で、早い段階でインスリンを使いいったん血糖値を下げ、その後、インスリンを中止することもあります。治療方法は、その人の病歴や生活習慣を参考にしながら決めていきます。
食事療法の目的は、適切なエネルギー量とバランスのよい栄養を取ることによって、血糖値だけでなく、血圧、血中脂質などをよい状態に保つことにあります。身長160cmのデスクワークの人であれば1400~1700kcalぐらいでしょう。食事療法を厳しく感じるのは、私たちにとって、1日3,000kcal摂取という生活が、珍しいことではないからかもしれません。なにしろ、平均的なスナック菓子で1袋約500kcal、ファストフード店でハンバーガーとフライドポテトを食べれば軽く600kcalを超えるという食環境です。
糖尿病の運動療法として一般的なものは、手軽にできるウオーキングです。血糖のコントロールが悪いとき、糖尿病の合併症が進行しているときなどは、運動を避けたほうがよい場合もあるので、主治医に相談してください。
糖尿病は完全に治ることはありませんが、血糖をコントロールしていれば、健康な人と同様の日常生活を送ることができます。糖尿病の方の出産も可能です。十分な血糖コントロールをしてから、計画的に妊娠することが必要なので、医師に相談してみてください。また、子育てが忙しいと通院が中断しがちですが、定期的な受診を継続しましょう。
●参考文献:『糖尿病治療の手びき』(日本糖尿病学会編)
気になる用語
- 空腹時血糖値
- ある一定時間飲食をしないで測定した血糖値です。一般的には朝食前に採血するかたちがとられています。健康な人の場合はだいたい61~109mg/dlです。(健康な人で、食後2時間後の血糖値が140mg/dl以上になることはほとんどありません)
- HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)
- 過去1~2カ月の平均的な血糖の動きを反映します。4.3~5.8%が正常域とされています。しかし、正常域であっても糖尿病でないとは言い切れず、糖尿病の診断は糖尿病学会の診断基準にそっておこなわれます。
医療生協さいたまの糖尿病サポート
医療生協さいたまの病院・診療所では、医師のほか、看護師・栄養士など専門職チームが必要な情報を提供するなど、糖尿病の患者さんたちのためにいろいろな支援をしています。ぜひご利用ください。(対応していない場合もあるので、最寄りの事業所にお問い合わせください)
- 糖尿病学習入院…
入院して糖尿病の知識、治療の必要性などを学習し、食事療法、運動療法を家庭で実践できるようにします。2泊3日コースや2週間コースなどがあります。保険適用。 - フットケア外来…
足を観察し、清潔を保ち、神経障害、血管障害から起きる壊疽(えそ)の進行を防ぎます。 - 患者会…
患者どうしで病気のことを話し合ったり、管理栄養士や運動療法士を講師に学習会を開いて、励まし合いながら一緒に生活習慣改善にとりくみます。
埼玉西協同病院の患者会では定期的にみんなでウオーキング

