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健康コラム

がん検診は、がんの死亡率を下げる!

「けんこうと平和」2008年6月号掲載

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埼玉県民のがん検診受診率は、大腸がん検診を除くと、全国平均を下回っています。
がん検診にはどのようなものがあって、どのように受ければいいのでしょう?

井合 哲(いあい あきら)

埼玉協同病院 副院長外科医 井合 哲(いあい あきら)

がんで深刻な事態にならない方法は2 つ。早期発見とならない工夫です。
有効ながん検診はしっかり受け、がんのリスクを高める生活習慣は改善していきましょう。

がんには50種類以上ある

「がん」とひと口にいっても、発生する場所によって、胃がん、大腸がんなどの名前がつき、約50種類もあります。私たちが一般にがんと呼んでいるのは、上皮細胞といわれる場所に発生するものです。その他、脳にできる腫瘍や、造血器にできる白血病、悪性リンパ腫、骨髄腫、そして骨や筋肉や脂肪にできる肉腫などもがんの一種です。

がんがなぜ人間の体に有害かというと、どんどん増殖して、人間の体を維持するための細胞がきちんと働けないようにするからです。他の正常細胞の栄養を先に吸収したり、周囲にしみ出たり(浸潤)、体のあちこちに転移して、勢力を拡大していくのもがんの特徴です。

低い検診受診率

「がん」と聞くと、ほとんどの人は、「死に至る大変な病気」とか、「こわい病気」と考えます。しかし、中には、がん検診を受けることで、早く発見することができ、その結果、命が助かる可能性が高くなるものもあります。

ところが残念なことに、基本健康診査に比べると、がん検診の受診率はまだまだ低いのが現状です。さらに、がん検診で要精密検査となっても、1~2割の人が受診せずにいます。検診を生かすためにも、必ず受診してください。

自治体によって条件は異なりますが、無料や低料金でがん検診を受けられる場合もあるので、住んでいる自治体の窓口に一度問い合わせてみるとよいでしょう。

検診があるがんと、ないがんの差はどこに?

がんの中には、検診がないものもあります。簡単で低コストでできる方法がなかったり、検診をしても見つかりにくい場合のほか、かかる人がまれながんや、見つかっても有効な治療法がない、安全性などの面から検診を受けるほうが不利益となるものなど、検診の意義が認められないためです。

以下が、皆さんにおすすめしたいがん検診です。

大腸がん検診

便潜血検査に問診がともなって、大腸がん検診となります。大腸がんで命を落としたり、大きな手術を受けたくない、という方は、2年に1度内視鏡検査を受けるといいでしょう。早期発見の可能性をかなり高くすることができます。しかし検診と違い、内視鏡検査には、若干の危険が伴い(検査前に説明があります)、費用も高くなります。

胃がん検診

バリウムを飲んでレントゲンを撮るのが一般的です。埼玉協同病院では、鼻から入れるタイプの内視鏡検査も、胃がん検診として利用できるように準備中です。

また、胃壁から分泌されるペプシノーゲンの血液中の量を測定することで、胃がんの可能性を調べることができます。一度陽性になった方は、毎年、内視鏡検査を受けたほうがいいでしょう。この場合は、保険が適用されます。

肺がん検診

これまでは胸部レントゲンと喀かく痰たん検査の組み合わせでおこなってきましたが、肺がん検診の決め手として登場したのがCT検査です。肺を輪切りにして撮影することで、早期発見でき、治療できる可能性が格段に向上しました。

前立腺がん検診(男性)

PSA(前立腺特異抗原)という、前立腺がんから発生する物質(腫瘍マーカー)の血液中の量を調べます。非常に信頼度の高い検査です。がんの診察時にはよく利用される腫瘍マーカーですが、ほとんどは部位が特定できないので、がん検診として利用できるのは、前立腺がんの場合だけです。

子宮がん検診(女性)

医師が診察して組織をとって調べます。子宮頸がんと子宮体がんがあり、子宮頸がんは、早期発見できる確率が高いです。

乳がん検診(女性)

40歳以上では、2年に1度の医師による視・触診とレントゲン撮影(マンモグラフィ)を併用した検診が有効といわれています。ただし、乳がんでは、自己チェックの仕方を学び、日々、自己チェックを習慣づけることが最も大切です。月に1度を目安に実行してください。

がん検診は万能ではなく、毎年検診を受けていても、最悪の場合、翌年の検診で、手遅れの状態で見つかることもあります。あくまでも、受けていない人より、受けている人のほうに、そのがんで亡くなる人が少ない、ということなのです。それでも、身体面でも経済面でも負担が少なければ、受けたほうがよいことは言うまでもありません。

肝臓がんや膵すい臓がんについては、決め手となる検診はありません。肝炎ウイルス検査や腹部エコーなどを受けることで、発見につながる場合もあります。

最近、PET検査が注目されていますが、これも100%がんを発見できるものではありません。現段階では、高額の検査費用を考えると、受けるべき検査とはいえません。

なお、がん検診は、自覚症状がない段階でがんを見つけるためのものです。調子が悪い、何かおかしいという場合には、検診ではなく、医師の診察を受けてください。

※がん細胞が正常の細胞よりブドウ糖をたくさん取り込む性質を利用し、ブドウ糖の一種を静脈に注射して、特殊なカメラでその体内分布を撮影する検査。

イメージ
がん検診の受診率

(厚生労働省平成17 年度「地域保健・老人保健事業報告」より。受診対象者に占める割合)

がん検診の受診率

死亡数の多いがん

(国立がんセンターがん対策情報室資料より)

  1位 2位 3位 4位 5位  
男性 肝臓 結腸 膵臓 ※結腸と直腸を合わせた大腸は4位
女性 結腸 肝臓 乳房 ※結腸と直腸を合わせた大腸は1位
男女計 肝臓 結腸 膵臓 ※結腸と直腸を合わせた大腸は3位
がん予防も期待できる!

医療生協の8 つの健康習慣と2 つの健康指標

8つの健康習慣
  • 生活リズムを整え快適な睡眠をとる。
  • 心身の過労を避け、十分な休養をとる。
  • 禁煙にとりくむ。
  • 過度の飲酒をしない。
  • 適度な運動を定期的につづける。
  • 低塩分、低脂肪のバランスのよい食事をとる。
  • 間食せず、朝食をとる規則正しい食生活。
  • 1日1回以上よごれを落としきる歯みがきをする。
2つの健康指標
  • 適正体重、適正体脂肪、適正腹囲を維持する。
  • 適正な血圧をめざす。
がんを予防する生活習慣って何?

がんも生活習慣病といわれています。中でも喫煙は、肺がんをはじめとするいくつかのがんの誘因となることが確認されています。その他、食生活の中身や睡眠時間の不足、ストレスなども誘因になると考えられています。

こうしたことは個人だけの責任ではなく、社会環境が改善されなければ解決できない部分もあります。それでも、医療生協の「8つの健康習慣と2つの健康指標」を心がけることで、がんから自分や家族を守ることができます。

早期発見が難しかったり、治療が期待できないがんもあるので、検診を受けるとともに、禁煙する、食生活に注意するなど、できるところから生活を改善していきましょう。野菜や果物、食物繊維などはがんのリスクを下げるといわれていますが、これを食べればがんにならないというものはありません。要は、食べ過ぎや油のとり過ぎに気をつけ、いろいろな食物をバランスよく食べるということです。塩辛い、熱いといった刺激の強いものやかびが生えたものは控えたほうがいいでしょう。こげにも発がん物質がありますが、大量に食べなければ、それほど神経質になる必要はありません。

運動習慣をつければ、体力も増進し、がんへの抵抗力が増すということも考えられます。毎日無理なくできる、自分にあった運動を見つけましょう。

医療生協さいたまのがん検診(自治体による個別検診については、各事業所にお問い合わせください。)
名前 内容 検診料金(組合員料金)
大腸がん検診 便潜血検査(2日法)+問診 1,050円
胃がん検診 バリウム検査(レントゲン) 5,000円
肺がん検診 CT検査

※埼玉協同病院、埼玉西協同病院、熊谷生協病院で実施

10,500円
前立腺がん検診 血液検査 2,100円
子宮がん検診 頸部・体部細胞診

※埼玉協同病院で実施

5,250円
乳がん検診 マンモグラフィ

※埼玉協同病院で実施

4,200円
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