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けんこうと平和

「けんこうと平和」2011年8月号掲載

このごろ気になる甲状腺の話このごろ気になる甲状腺の話

村上 純子(むらかみ じゅんこ)

【監修者のことば】
埼玉協同病院 臨床検査科部長 医師 村上 純子(むらかみ じゅんこ)

甲状腺の病気は、女性に多い病気です。予防は難しいですが、検査で比較的簡単に発見できます。病気が見つかったら、早く治療を始め、快適な生活を取り戻してください。

放射線と甲状腺がんの関係

甲状腺はヨウ素(ヨード)を主原料にホルモンを作っています。そのため、ヨウ素が体内に入ると甲状腺に集まります。今回の福島第一原子力発電所の事故によって、放射能を持ったヨウ素(放射性同位元素「ヨウ素131」)が体内に入って、甲状腺が放射線を浴び(内部被ばく)、がんのリスクが高まることが心配されています。

被ばくによる甲状腺がんの予防として、無機ヨード剤(安定ヨウ素)の服用が有効とされるのは、放射性ではないヨウ素を先に甲状腺に取り込ませ、放射性ヨウ素が体内に入っても、とどまる余地がなく体外に排出されるようにするためです。ただ、薬である以上、副作用やアレルギー反応の可能性もあり、安易に服用すべきではありません。

甲状腺がんってどんながん?

甲状腺がんはできる場所や性質によっていくつかのタイプに分類されます。なかにはがん細胞が大きくなっても、悪性度が低く、経過観察だけですむものもあります。5年生存率が90%以上というタイプがほとんどです。1タイプ(甲状腺がんの約3~5%)だけ、1年生存率が10%未満というものがあります。

甲状腺がんは患者数が比較的少ないため、がん検診のシステムはありませんが、体の表面近くにある器官なので、触診で見つかりやすいがんです。健康診断のときに、医師にのどを触診された経験はありませんか。これは甲状腺がはれていないかを調べています。もし触診で異常が認められた場合は、超音波検査やCT撮影をおこないます。

甲状腺の役割は?

甲状腺は、ホルモンを出す内分泌器官のひとつです。ホルモンとは、微量で体の各器官の機能をコントロールする物質で、それぞれ固有の役割を持ち、特定の器官から分泌され、血液を通って別の特定の器官に運ばれます。甲状腺が出している主要なホルモンはトリヨードチロニンとチロキシンで、まとめて甲状腺ホルモンと称されます。この2つは、エネルギーを燃焼させる働きがあります。

がんを除けば甲状腺の病気は、このホルモンが出過ぎるか、あるいは十分に出ないことが原因となって起きます。

過剰分泌はエネルギーのむだ使いに

甲状腺ホルモンが出過ぎると、酸素をどんどん体に取り込んでエネルギーを燃やします。動悸(き)、頻(ひん)脈、汗をかく、いらいらするなどの症状があり、バセドウ病が有名です。腸の動きが活発になり過ぎて下痢をしたり、外見上も眼球が突出する、甲状腺が大きくなる、やせるなどの特徴もあります。症状が重くなると、心臓など循環器系に負担がかかります。本来は、脳がホルモン過剰状態を感知して、甲状腺刺激ホルモンの分泌を抑えます。ところが、甲状腺に対する自己抗体(自分で自分の体を攻撃する物質)ができると、その抗体が脳の制御を受けずに甲状腺を刺激しつづけ、いつまでもホルモンが出ることになります。

症状も外見の異常も特徴的なので、早い段階で見つかることが多く、甲状腺の働きを抑える薬を飲んだり、手術で甲状腺の一部を取ることで改善します。

甲状腺のプロフィール

甲状腺ホルモン分泌の仕組み

甲状腺ホルモン分泌には、脳にある内分泌器官である、視床下部と脳下垂体が関係しています。

甲状腺ホルモン分泌の仕組み
甲状腺がんの患者数

人口10万人当たり

患者数:
男性 3.4人 (男性がかかるがんの約0.5%)
女性 10.8人 (女性がかかるがんの約2.5%)
死亡者数:
男性 0.8人 女性 1.7人

(国立がんセンターがん対策情報センター
患者数は2010年 死亡者数は2009年)

更年期障害と間違われることも

一方、甲状腺ホルモンが不足すると、エネルギーを燃やさなくなるので、太っていきます。脈拍も少なくなり、体の動きがおそくなる、舌が肥大するので話し方も非常にゆっくりになる、汗をかかなくなる、寒さに弱い、腸の動きが悪く便秘がち、皮膚がかさかさする、むくむといった症状が見られます。中年期以降の女性に多く見られるので、更年期障害と思われることがあります。また、認知症とも間違われやすい病気です。甲状腺ホルモンの投与で「どんよりくもっていた空がさーっと晴れていく」ように、画期的な改善が見込まれますが、病気が見逃されていることも少なくありません。

甲状腺ホルモンが十分出なくなる病気の大部分は橋本病と呼ばれる病気です。甲状腺の構成成分であるたんぱく質に抗体ができることで、甲状腺ホルモンを作ることができなくなり、その結果、甲状腺の働きが低下します。

がんも、ホルモンの分泌の異常も、原因ははっきりわかっていません。心身を健康にたもって自己免疫力を高めるほかに、確実な予防法はありません。ただし、「ヨウ素131」の内部被ばくは、あきらかに甲状腺がんの発生リスクです。過度な心配は不要ですが、不安があるときは受診して、異常がないか調べるといいでしょう。


無機ヨード剤(安定ヨウ素)について知っておきたいこと

全日本民主医療機関連合会被ばく問題委員会委員
埼玉協同病院 副院長 雪田慎二

  1. ①緊急事態であっても40歳以上の方は無機ヨード剤(以下ヨード剤)の内服は必要ないと、一般的に考えられています。
  2. ②現在の福島第一原発の状況では、放射性ヨウ素が多量に大気中に存在する状況ではないので、子どもたちがヨード剤を服用する必要はまったくありません。なお、日本の子どもたちは、旧ソ連の子どもたちよりもふだんからヨウ素摂取が多く、チェルノブイリのような甲状腺がんが多発する状況は考えにくいという説もあります。汚染された牛乳の出荷制限の方が重要という意見が有力です。
  3. ③ヨード剤は、医療機関や行政が一定量備蓄していますが、対象は、子ども、若者、妊婦が優先されます。「再臨界」で放射性ヨウ素が漏出したときに必要になる可能性がありますが、その場合も、できる限り遠くに避難することが最優先となります。
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