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「けんこうと平和」2010年9月号掲載
日本では毎年30万人以上ががんで亡くなっています。
しかし、検診による早期発見と、治療技術の進歩によって、がんを克服する人も増えています。
【監修者のことば】
埼玉協同病院 健康増進センター 所長 小池 昭夫(こいけ あきお)
埼玉県民のがん検診受診率は、大腸がんを除くとすべて全国平均以下です。
早期発見・早期治療のために積極的に受診しましょう。
毎年受けて早期発見を
現在、自治体が実施しているがん検診の主な対象は、大腸がん、胃がん、肺がん、乳がん、子宮がん、前立腺がんです。1年間にこれらのがんで亡くなった人は約18万7千人※で、がんで死亡した人の半数以上を占めています。
この6つのがんに共通するのは、①検診による体への負担が少ない、②早期発見によって、完治(治療終了後5年、乳がんの場合は10年の生存で考える)を含め、高い治療効果が期待できることです。
がん検診を毎年(種類によっては2年に1回)続けて受けることで、がんで死亡するリスクがだんだん少なくなるというデータもあります。
※厚生労働省「人口動態統計」(2009年)より
自覚症状は進行のサイン
現在、日本人のがん検診受診率は、いちばん高い胃がんでも、男性32.5%、女性25.3%、乳がん検診にいたっては、20.3%にとどまっています(2007年調べ)。自治体のがん検診は必ず受診し、また、健康診断にがん検診を追加できる機会は逃さないようにしましょう。
要再検査となっても、精密検査を受けない人はまだまだ多いようです。自覚症状がないからということなのでしょうが、初期のがんでは自覚症状が出ることはほとんどありません。自覚症状があるのは、がんが進行しているサインと思ってください。
がんは早い段階で治療を始めるほど、生存率が高くなります。また治療方法も腫瘍だけの切除ですむため、体への影響が少なく、術後も生活の質が損なわれないことが多いのです。たとえば、20代の子宮頸がんは初期に発見されれば、その後の妊娠も可能となります。
対象年齢外だけど
自治体のがん検診の対象になっていなければ、がんになる心配がないということではありません。がんになった家族がいるなど、もっと早い時期から受診したほうがよいと考えられる人もいます。また、ピロリ菌がおなかにいる人は、胃がんになりやすいという説もあります。がんになりやすい因子がある人は、日ごろからかかりつけ医に、どんながん検診を受ければいいか、相談しておくとよいでしょう。
残念ながら、毎年がん検診を受けていても100%早期発見できるわけではないことも事実です。しかし、「だから受けなくてもよい」ということではありません。必要ながん検診を確実に受けるとともに、喫煙しない・運動習慣をつくるなど、医療生協の8つの健康習慣と2つの健康指標(右側囲み参照)を守って、がん予防に努めましょう。
イラスト/リーカオ
医療生協の8つの健康習慣
- ①生活リズムを整え快適な睡眠をとる
- ②心身の過労を避け、充分な休養をとる
- ③禁煙にとりくむ
- ④過度の飲酒をしない
- ⑤適度な運動を定期的につづける
- ⑥低塩分、低脂肪のバランスのよい食事をとる
- ⑦間食せず、朝食をとる規則正しい食生活
- ⑧1日1回以上よごれを落としきる歯みがきをする
医療生協の2つの健康指標
- ①適正体重、適正体脂肪、適正腹囲を維持する
- ②適正な血圧をめざす
低料金の自治体がん検診を利用しましょう!!
受けるべきがん検診
対象年齢や回数は、医療生協さいたまがおすすめしている目安です。低料金で実施される自治体のがん検診は、実施期間が限られている場合もあるので、今すぐお住まいの自治体にお問い合わせください。
子宮がん
20歳以上の女性(子宮体がんは40歳以上) 2年に1回
細胞診+内診 組合員料金5,250円
(子宮頸がんのみの場合は3,150円。埼玉協同病院で実施)
子宮頸がんでは子宮頸部の表面を軽くこすって、子宮体がんでは子宮内腔内の細胞を取って調べます。20~30代に子宮頸がんの発症が増えているので、20歳になったら定期的に子宮頸がん検診を受けましょう。
なお、子宮頸がん発生の最大リスク因子である、ハイリスク型HPV(ヒトパピローマウイルス)に感染していないかどうかをオプションとして追加検査できます。(組合員のみ実施。5,565円)
疑わしい部位の精密検査
肺がん
40歳以上 年1回
胸部レントゲン検査
胸部にX線をあてて、肺に異常な影がないか調べます。肺がん検診としての胸部X線検査の有効性は、二重読影(2人の医師がフイルムをみる)、比較読影(前のフイルムと比較してみる)をおこなった場合です。できるだけ同じ機関で、毎年受けられることをおすすめします。(医療生協さいたまの健康づくり健診に含まれます。健康づくり健診は6,300円~)
※長年喫煙している、喫煙の本数が多いなど肺がんのリスクが高い人には、胸部CT検査があります。(10,500円。埼玉協同病院、埼玉西協同病院、熊谷生協病院、秩父生協病院で実施)
胸部CT(断層撮影)検査
大腸がん
40歳以上 年1回
便潜血検査+問診 組合員料金1,050円
便(の表面)を専用の器材で取って、検査機関に提出。肉眼で見えないレベルの潜血から、大腸内の出血を探ります。
※医療機関で検診を受けた半年後に、自己チェックをおこないましょう。便潜血チェック用器材(350円)は医療生協さいたまの事業所で販売しています。
大腸内視鏡検査(肛門から内視鏡を入れて、大腸内をみます)
早期発見で入院も1日
所沢市・石井喜久枝 (いしい きくえ) さん(64)
「2年前から便潜血検査の結果が陽性になり、毎年内視鏡検査も受けるようになりました。ポリープを取ったのは去年からで、今年はポリープががん化していたのがわかりました。小さいものだったので内視鏡手術ですみ、1日で退院できました。周囲から、がんだったの?と驚かれています」
前立腺がん
50歳以上の男性 年1回
PSA検査 組合員料金2,100円
血液をとって調べます。
前立腺の触診・エコー・組織検査など
診断されてびっくり
川口市 沖 典明 (おき つねあき) さん(66)
「私の家系にはがん患者はいないと聞かされ、がんにはならないと確信していました。ところが先日、前立腺がんと診断され、治療中です。60歳を過ぎると多く、初期には無症状とのこと。私も症状がありませんでした」
胃がん
40歳以上 年1回
胃レントゲン検査 組合員料金5,000円
胃を膨らませる発泡剤と、バリウム(造影剤)を飲み、X線をあてて、食道から胃、十二指腸までの形や粘膜に異常や変化がないか調べます。
胃内視鏡検査(口から内視鏡を入れて、胃の粘膜を直接観察、必要に応じて組織検査)
胆のう、胆管、すい臓、肝臓、腎臓などのがん
40歳以上 年1回
腹部エコー検査 組合員料金3,150円
腹部に超音波を発信し、返ってくる音波(エコー)を画像にし、腫瘍の有無、大きさ、深さを調べます。
CTなどの精密検査、腫瘍マーカー検査など
乳がん
40歳以上の女性 2年に1回
マンモグラフィ+視・触診
組合員料金4,200円(埼玉協同病院で実施)
乳房を引き伸ばし、乳腺の重なりを少なくして撮影する乳房専用のX線検査。視・触診では見逃されるほど小さながんや、しこりができないタイプのがんも発見できます。
まず乳房エコー、必要に応じて組織検査など
副作用に悩まずにすんだ
草加市・松澤千代子 (まつざわ ちよこ) さん(67)
「40歳ぐらいからずっと乳がん検診を受けてきました。5年前、超早期の石灰化の時点でがんが見つかり、手術をすることになりました。術後、放射線治療や抗がん剤治療は必要なく、副作用に悩まなくてよかったのは、がんが小さい段階で手術できたからだと思います」
乳がん自己チェックをしましょう!
月1回自己チェックすることでふだんの乳房の状態がわかり、異常がみつけやすくなります。生理の1週間後に(閉経後は日にちを決めて)、形状、しこり、乳首からの分泌液などがないかチェックしましょう。いつもと違う異常を感じたときにすぐに受診できるように、検診時に自己チェックの方法を聞いたり、班会でみんなで学習しましょう。
